変則チェスの一種、"suicide"ってご存知でしょうか。ルールは簡単、先に自軍を殲滅した方が勝ち。キングを取られてもかまいませんし、むしろ積極的に取らせていきます。ただし指し手の選択に制限があり、将棋で言うところの取る一手将棋のようになっているので、相手の駒を取れるときには必ず取らなければいけません。いかに相手に駒を上手に取ってもらうか、以下に相手の駒を取ることを避けるかが重要になります。
チェスは将棋に比べて駒の可動範囲が大きく、また盤も狭いため、ガンガン駒が当たり、ガンガン駒が減ります。ちょっと油断すると一気に駒得して負けるという事態になりうるため、序盤から大変な緊張感を味わうことができるスリリングなゲームとなっております。
で、この遊び方、将棋にも応用できないかなと。チェスのsuicideと同じく、取る一手将棋で、全滅した方が勝ち。ただしこれだけだと、将棋では玉や金が延々と上下運動をして決着がつかない場面が容易に予想できますので、いくつかルールを追加する必要があります。そこで、将棋独自のsuicideルールとして以下のようなものを考えてみました。多分nmotoよりも先に同様の遊び方考案した方がいらっしゃるかもしれませんが、ネットを１０秒くらい探した限りでは見つからなかったので…。何番煎じか分かりませんが、nmotoが考えてみたものをご紹介します。
- 先に自軍の駒を全て取られた方が勝ち。
- 取れる駒がある場合は取らなければならない。取れる駒に複数の選択肢がある場合は、どれを選んでも構わない。
- 王手は放置しても構わない。相手の駒の利きに玉が入っても構わない。
- 駒は横方向（右、左）や後ろ方向（右斜め後ろ、真下、左斜め後ろ）に進んではならない。ただし、横方向や後ろ方向に取れる駒がある場合にのみ、これらの方向に進むこともできる。
- 動かすことのできる駒が無くなった場合は手番をパスする。
- 双方のプレイヤーがパスした場合、その時点でゲームを終了し、残った自軍の駒の枚数が少ない方を勝ちとする。
- 持ち駒は使わない。使えない。取った駒は永久追放。
- 一段目に入った歩、桂馬、香車は成らないでおくこともできる。（本将棋では禁じ手ですが、このルールでは動かせない駒が生じることを前提としているため、この三種類だけ不成で動かせなくすることを禁止するのは不合理と考えられるため。要議論かも。）
サンプルゲーム（先手：nmoto 後手：nmoto）
▲７六歩△３四歩▲２二角成△同銀▲８六歩△２四歩▲８五歩△２五歩▲８六歩△同歩▲７七桂△２六歩▲同歩△８五歩▲同桂△同飛▲７五歩△同飛▲６八金△７九飛成▲４八玉△４九竜▲同玉△１四歩▲９六歩△５四歩▲４六歩△６四歩▲３八銀△７四歩▲７七金△７三桂▲５八玉△７二金▲２七銀△３二金▲２五歩△７二銀▲４七玉△８三銀▲９五歩△９四歩▲同歩△同香▲同香△同銀▲８六金△７五歩▲同金△９五銀▲８四金△同銀▲１六歩△１五歩▲同歩△同香▲同香△１一銀▲同香不成△８五銀▲１七桂△８六銀▲１六銀△３三桂▲６六歩△２五桂▲同金△８七銀成▲３四銀△７八成銀▲４三銀成△同金▲投了 まで７２手で後手の勝ち
（投了図）
何も考えずに指してみた例ですが、投了図では先手は飛車で駒を大量に取らされるのが受かりません（▲７八飛に△８五桂▲７八飛不成△５二玉▲同飛不成△５三金～、あ、△５三金はダメか）。投了図は大差に見えるかもしれませんが、チェスのsuicideはちょっとした読み抜けから一気に駒を減らされる展開が多い（自分の場合）ので、こんなもんか、これでも差は少ないほうかなと思います。普通の取る一手将棋にも言えることですが、考え始めるとかなり果てしないので、時計を使って一手１０秒くらいで指してお互いのミスを笑い合う感じで楽しむのがいいかも知れません。
いかがでしょうか。ルールの不備や、「こういうルールがあったほうがおもしろい！」というのがございましたら、ドシドシお申し付け下さい。皆様のご意見、お待ちしております。
