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ここはチラシの裏

哲学者が雀荘に集まったそうです

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哲学者が雀荘に集まったそうです

キィ…(雀荘のドアが開く音)

店員:いらしゃいませ。新規のお客様ですね(うわあ、また変なのが来たよ…)
謎の客:フリーで打たせてくれ
店員:お客様、失礼ですが、ウチはお高いですよ…?常連のお客様もヨーロッパ中の雀荘を荒らしに荒らした強者の方々ですからね
謎の客:知っている。あの奥の卓に座っているのは、デカルト…先生、カント先生、ヘーゲル先生だろう?私は彼らと打ちたくてここに来たのだ
店員:それは失礼いたしました。ちょうどその卓が空いています。すぐ入れます。さあ、どうぞ…


デカルト:見ない顔だな、新入りか
カント:先ほどの話、聞いてましたが、私たちに挑戦しに来たそうですよ?
ヘーゲル:いい度胸だ。当然、それなりに腕は立つんだろうな…?
謎の客:…
カント:まあまあそう言わず、折角来たんですから、楽しんでいってもらいましょう
デカルト:始めるぞ。…俺が起家だ



デカルト:新入り、さっきの話だとお前は俺たちのことを知っているようだな
謎の客:そうだ、知っているつもりだ。だが大先生たちの口から直に自慢話が聞けるんだったら、是非お聞きしたいところだな
デカルト:いいだろう。教えてやるよ。まずは俺の話だ。俺は見ての通り、この中で一番年上だ。当然、麻雀歴も一番長い。まあ言ってみれば、ここにいる全員は俺のフォロワーだ。なんたって他のすべての人間は俺の麻雀理論から出発したんだからな
カント:…
ヘーゲル:(ブツブツブツブツ…)
デカルト:俺は麻雀の真理を得るため、あらゆる努力をした。ヨーロッパ中の鉄火場を見て回った。何度も振り込んだ。何度も飛んだ。俺はそのたびに自分の理論を疑った。そうするうちに、俺はあることに気が付いた。完全な麻雀理論を打ち立てるためには、絶対に確実な、疑いえない足場を作る必要があると。俺はあらゆることを疑うことによって、疑いえないものを探し続けた。目の前の麻雀牌の存在までも疑った。その結果、俺はついに見つけた。"cogito, ergo sum" という、絶対に疑いえない知の足場を…!
謎の客:…
店員:(何言ってんのか全然わからねぇ…頭おかしい…)
デカルト:基礎となる土台の部分が確実なら、その上に構築される知識体系もまた確実だ。こうして考えている俺は確実に存在している。だから俺が正しいやり方で推論して考えたこともやっぱり確実だ。俺はこの場況から正しく推論した結果、次の結論を得た。すなわち、この手はアガれる。リーチ!
店員:(やっぱり頭おかしい…)
カント:あなたのおっしゃっていることは正しい。しかし、本当にそれだけなのでしょうか?だとしたら麻雀は何とつまらないゲームなのでしょうか。
デカルト:何だと!?
カント:デカルト先生以降、麻雀理論はすさまじいスピードで進歩を遂げてきました。最近ではついに、ニュートンという人によってデジタル麻雀の基礎が確立されました。しかし皆さんお忘れではないでしょうか。人間は理論だけで動く動物ではないということに…!
店員:(こいつも頭おかしい…)
カント:デジタル麻雀は、デカルト先生の麻雀思想にその源流があると考えられます。デジタル麻雀は、個々の状況から得られる客観的な情報を分析し、その時々で最も有効な行動を割り出すものです。これは結局のところ、アガりたいとか勝ちたいとかいう欲求を満たすことを目的としています。しかし、そんなことはすごくかしこいいサルが現れたら、彼にもできてしまうでしょう。人間は違います。人間は理屈による推論抜きに、道徳法則を直接知ることができます。欲求に打ち克ち、道徳法則を自分のものとして従うことができるのです。サルには決してできません。ここにはサルにはない人間の自由があります。いま、私にはそれなりの勝負手が入っていますが、ここは道徳法則にしたがい、現物を打ってオリることにします。
店員:(普通に親リーにオリてるだけじゃねえか…)
デカルト:ほう、つまり、俺の思考はサル並みだと
ヘーゲル:やめないか。カント先生もだ。先生は確かに倫理といういい点に着目したが、しかし私に言わせれば先生の考えは実際の闘牌においては何の役にも立たないのだ。
カント:それは聞き捨てなりませんね。どういうことです?
ヘーゲル:カント先生の理論はあまりにも形式的すぎるのだ。つまり、実際の場面で具体的にどんな手を打つべきなのかを、あなたの理論は教えてくれない。本当に大切なのは、流れだ
店員:(流れ論者かよ。やっぱりこいつも頭おかしい…)
ヘーゲル:私がここでいう流れとは、場の雰囲気とかそういうものではない。打牌の流れだ。全ての配牌は、ツモ牌と交換されながら聴牌という終着点を目指す。その過程が現れるのが、川だ。流れを見ろというのは、打牌を見ろということだ。親の川を見てみろ。ダブ東やドラ側などの重要な牌を早くに捨て、そして中張牌を切ってリーチしている。大きな手であることは必然だ。一方の私の川は、もうすでに2メンツほど裏目っている。この手の失敗は私の方から見るまでもなく明らかであり、勝負に行ってはいけない。そして、こういう時に何を打てばいいのかも、川が教えてくれる。つまり、現物がないから一旦チーして間スジの5ピンだ…!
店員:(思ったよりマトモだったけどやっぱりオリてるだけじゃねえか…)
謎の客:…やれやれ、さっきから聞いてれば、コギトだの、べきだの、流れだのと、笑わせてくれる。三人とも、小さいことにこだわりすぎて、全体を支配するもっとずっと大きなものが見えていない
三人:何っ!?
謎の客:我々の打牌の行く末はすべて、宇宙の意志の中にある。私たちは自由意志を以って麻雀しているように考えられがちだが、それは違う。結局全ては大いなる宇宙の掌の上なのだ。ならば、重要なのはこの宇宙意志の中に身をゆだねること、大きな流れの中に遊ぶことだ。
店員:(やべえこいつ一番頭おかしい!)
ヘーゲル:お前は一体何者だ!名を名乗れ!
謎の客:我が名はショーペンハウアー。お前たちより有名ではないが、これでもれっきとしたプロ雀士だ。そう、今は不人気に甘んじているが、それも今日までだ。今日ここで自分の理論が誰よりも優れていることを証明して麻雀界の頂点に立つ。そのために来た。くらえ!追っかけリーチだ!!!
デカルト:あ、ロン。リーチピンフ。2900。
ショーペンハウアー:はい
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