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思い出の棋書

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思い出の棋書


 自分の身の回り、将棋始めたばかりの人や初級者の人がそれなりにいるので、そういった方々への参考程度に、私がどんな本読んで育ってきたかということにつきまして、参考程度に。もちろん他の本も読んでますが、私が将棋について持っている知識の9割くらいはここからのものです。順番は読んだ順。それでは参りましょう。



  • 将棋をはじめたい人に(原田泰夫著、成美堂出版)
 小学生の時、親の本棚にあったこの本を勝手に読んでました。文庫本サイズの本ですが、駒の動きと配置から、囲い、手筋、簡単な定跡、詰め将棋まで幅広くカバーしています。将棋の入門書というといかにも子供向けっぽいのものが多い印象なので、本書のような一般向けのものは貴重かもしれません。ただこの本、誤植が多い。あと、誤解を招くような表現(受けがあるのに受けなしとしている等)も散見されるので、人にお勧めできるかと言われれば、微妙。また、出版されたのがだいぶ昔なので、早石田やゴキゲン中飛車や角交換振り飛車は出てきません。本書で扱われる戦法は、主に棒銀。相矢倉に棒銀。四間飛車に棒銀。向かい飛車に棒銀。一応、四間飛車の山田定跡(の一部)も紹介されています。
 本書の最大の美点は、駒落ち定跡が載っていること。六枚落ちから飛香落ちまで扱われており、二枚落ち定跡の上手5五歩戦法まで解説されています。詰め将棋も簡素で実戦的なものが多数収録されているのもいいところ。


  • 四間飛車の急所(藤井猛著、浅川書房)
 ノーマル四間飛車党のバイブル。みんなのアイドル藤井先生による定跡研究書。
 四間飛車に対する居飛車急戦の定跡がほぼ網羅されています。1~4巻までありますが、四間側の型別に定跡がまとめられているため、振り飛車党の人なら読むのは自分が得意な形が載っている巻だけでよいと思います。逆に言うと、居飛車側は急戦するなら全部読んでおく必要があるかもしれないという事かも(1巻は別にいいかな…)。居飛車党の人って必修定跡が多くてほんと大変そう。対抗形の定跡書読むとこういうこと思ってしまいます、よね。


  • 寄せが見える本(森雞二著、浅川書房)
 言わずと知れた終盤教本の名作。マジで見えるようになります、寄せが。マジだってマジ。なおnmotoの終盤力は(省略されました。続きを読むには角道が開くまで左銀が3二から一生動かないタイプのノーマル四間飛車指しを見つけて適当な詰めろをかけて下さい。)
 内容としては、必死の問題集になります。実戦で現れそうな形が多数収録されており、応用範囲も広いです。「終盤の魔術師」こと森雞二先生の丁寧な解説もあります。正解の順だけでなく、正解以外の手順がなぜだめなのかについてもページ数をかけてしっかりと(そして時に辛辣な言葉で)教えてくれます。終盤はこれ読んであとは詰め将棋解いてりゃいいんじゃなかろうかという一冊。


  • 羽生の法則 vol.1 歩の手筋(羽生善治著、日本将棋連盟)
 1巻です。シリーズものですが1巻が一番大事。内容は表題にあるとおり歩の手筋集。
 譜面に多くのスペースが割かれていて文章量はかなり少ない上、この手の本としては珍しく、同じ形(左右対称形)が何度か出てくるので中身はかなり薄めですが、それだけ著者が伝えたいことが絞られているということで。実際、実戦での登場頻度の高いものばかりが扱われているので、特に初級者の方には重宝するのではないかと思います。
 この本のいいところは、定跡やプロの実戦例の中で手筋が現れたシーンが紹介されているところ。手筋が生きた知識であるということが実感できます。昔塾講師やってた知り合いが中学生に「先生、あたし公式覚えても、どういう問題のときにどういう公式使えばいいかわからないの…」と相談されたらしいですが、そういうことがなくなります。大事なこと。


  • 上達するヒント(羽生善治著、浅川書房)
 ネット界隈で「鬼畜眼鏡」と恐れられる羽生先生が、海外で行われたアマチュアの棋戦の棋譜を見ながらダメ出ししていく本。…と言えば身も蓋もないですが、要は羽生先生がいろいろなテーマにあわせて棋戦を解説してくれる本。形勢はどちらがいいのか、それはなぜなのか、悪手を指した側はどうするべきだったのか、といったことを丁寧に教えてくれます。初心者向けのことから、かなり上級者向けの内容も書かれているので、長く付き合える一冊だとい言えます。
 nmotoが常日頃から思っていることですが、将棋の強さを構成する要素というのは、人間もコンピューターも同じでたったの二つしかなく、それは、読み手の広さ・深さと、形勢判断の正確さなのだと考えています。この二つは車の両輪のようなもので、広く深く読めなければ現状の形勢を判断することはできませんし、どれだけ広く深く読めても形勢判断が正確にできなければ読んだ手の中から正解手を見つけることができません。というわけで、広く深く読むことを鍛えることと形勢判断をより正確にしていくことは上達のためには両方とも必要なわけですが、前者が定跡を覚えたり詰め将棋を解いたりするというトレーニング法があるのに対し、後者を強化するための方法というのはなかなか見当たりません。きっとそれは、自分よりも形勢判断が正確な人から教えてもらう外ないのだと思います。そういうわけで、将棋が強くなるということは一人では決して出来ないことであって、トッププロが形勢判断のコツ、というか考え方を教えてくれる本書は、棋力向上の最高のパートナーの一人なのではないかなと思います。
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